「広島大学サッカー部・歴史上最強チーム」(前監督 沖原謙)

 こんにちは、広島大学のサッカー部前監督の沖原です。皆さんお元気でしょうか?この度は上記のようなテーマでブログを書かせていただきます。 

 

 まずは、昨年度に続いてのインカレ出場おめでとうございます。今年は、中国リーグのほとんどの試合を見に行きました。終わってみれば14勝1敗3分けと他チームを圧倒しての優勝でした。このチームの素晴らしいところは、3つあります。 

1つ目がコンスタントな守備の硬さです。具体的には、すべてのポジションでチャレンジ・アンド・カバーが1試合を通じてできているということです。ここで特筆するべきことは、無理なインターセプトを狙いすぎたりして相手と入れ替わる数が殆ど無いことです。これが失点を少なくしている要因だと思われます。 

2つ目にゲームの組み立てのうまさです。特にプレッシャーをかけられた時にチームでボールをつなぎ直して打開する力を備えていることです。これは言葉で言うのは簡単ですが、実行するのは大変難しいことです。このサッカーは相手のプレッシャーを恐れていてはできません。この組み立ての勇気と忘れてはいけないのが、絶えずボールポジションに対するサポートの速さと距離の正確性です。この組み立てのうまさが広大サッカーの攻守に貢献していると考えられます。 

3つ目は攻撃の決定力の高さを挙げたいと思います。試合を通して無理のないサッカーを攻守にわたって続けていると、なぜかチャンスは訪れるものです。今年度に関しては組み立ての素晴らしさに比べて、攻撃のコンビネーションからの華麗な得点は少なかったと思います。しかしチャンスの時のシュートの精度が高く、またセットプレーからの得点も多くこれらの二手が攻撃を支えていたと考えれます。 

以上の3つが広島大学体育会サッカー部の長所だと思います。 

 

 そして改めて考えてみると中国地域の大学サッカーの中でここまで強いチームになった原因は他にもあると思います。1994年に私が監督をしていた頃の最強チームと比較しても今のチームのほうが強いのではと思います。強かったあの頃でも総理大臣杯で関西1位の天理大学に勝った1勝だけで、今のチームは全国大会でもう2勝をあげています。ここまで強くなったのは上泉先生のサッカーを俯瞰する力が優れていたからに違いありません。余談ですが上泉先生は現役のころは箸にも棒にもかからないベンチにも入ったことのない下手なプレーヤーでした。選手と監督は別物だといいますが、まさに上泉先生のことを指しています。 

 

 広島大学サッカー部の素晴らしい点は他にもあります。それはチームの団結力です。私が試合を見に行った時、いつも椅子とテントを気持ちよく準備していただきありがとうございました。これは一つの例でこのサッカー部のホームページ一つをとっても、昔と比較すると飛躍的に改善されています。試合に出ている選手だけでなく部員が一丸となって戦っているのが伝わってくる素晴らしいチームだと思います。 


 最後に、インカレに向けてチーム一丸となっていけば、今のチームなら優勝も夢ではないということを言いたいと思います。勿論、結果は全敗になっても何の不思議もないことではあるのですが。昨年度総理大臣杯は地方大の富士大学が優勝しました。その富士大学に広島大はインカレで勝利しています。今年の総理大臣杯は阪南大学が優勝し、準優勝は新潟医療福祉大学でした。広島大学の実力からしてこの2チームとも五分五分に勝負できる相手だと思っています。勝負はやってみないとわかりません。選手一人一人が今よりもプラス10%のパフォーマンスを出し、残りの選手がレギュラー陣のサポートに100%の力で支えた時には、何が起こるかはわかりません。 

 

 とにかく、最後に目標だけはインカレ優勝に向けてチーム一丸となって頑張っていってもらいたいと思います。そして、OBの皆様には改めてできる限りのご支援をお願いいたします。