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「使いにくい選手」(菅原禄介)

 先日、広大サッカー部は26年ぶり10回目の中国リーグ優勝、そして2年連続となるインカレ出場を決めました。

 

 優勝を決めた試合の会場はアウェーで、しかも他会場の結果次第では決まらないという条件付きでしたが、友人の車に乗せてもらい、現地へ応援に行きました。選手としてピッチに立つことはできませんでしたが、優勝が決まった瞬間の喜びを身をもって体験することができました。

 

 思い起こせば、サッカー部に入部して初めて触れた大学サッカーの試合は、Iリーグの広大ダービーでした。独特の緊張感や、気迫、熱気、試合後の選手たちの充実した表情、悔しそうな表情など、今でも覚えています。

 

 当時の僕は、Iリーグ2でも出番がない選手で、一番下のカテゴリーである県リーグでしか出場がなかったので、まずはIリーグ2で主力として活躍することを目標に据えました。

 

 その当時、なぜ出場機会を得られていなかったのか。その答えは明確で、僕自身、ゲームプランが組みにくい選手だったからです。言い換えれば、ピッチ上でのプレーが予測し難い、使いにくい選手だということです。試合の展開を左右する中盤のポジションをやっていたので、そんな選手が使われないのは尚更でした。

 

 そこで僕が取り組んだのは、ボールを止める技術の向上です。きっかけは、当時の大学院生コーチとの出会いでした。体格は僕と変わらないぐらいでしたが、綺麗なトラップをそつなくこなしていました。この技術があれば、プレーにも安定性が出て、少しは使いやすい選手になれるかもしれないと考えました。

 

 それからは、練習中もその前後も、喋りながら部員とボールを蹴る時も、その技術と必死で向き合いました。Iリーグ2での出場時間も徐々に増えてきて、先生やコーチ、部員に、ボールを止める技術を褒められたときは素直に嬉しかったです。でも満足はしていません。中国リーグでの出場はおろか、メンバー入りすらしたことがないからです。

 

 それでも、自分なりに、使いやすい選手になるための努力をしてきたことは間違いではなかったと思います。

 

 4年目の今シーズンも、ほとんどの時間をI2で過ごしました。例年以上の成績とはいえ、上位プレーオフまであと一歩届かなかったことは悔いが残っています。

 

 とはいえ、先生やコーチ、02はもちろん、下級生には感謝しています。お世辞にも頼りになるとは言えない4年生だったと思いますが、皆のおかげで、例年以上の結果を得ることができました。

 

 特に、今年は県リーグに参加していないので、Iリーグで出場機会がなかなか得られなかった人は、モチベーションの維持が難しかったと思いますが、腐らずに練習に取り組んでくれていたと思います。

 

 下級生は、来シーズン以降も、各カテゴリーで出場時間や自分自身のプレーに悩む時が来ると思います。そんな時こそ、使いやすい選手になるための努力をしてもらいたいです。そしてそれは、ピッチ上に限った話ではないと思います。

 

 大学サッカーにおいては、各部門の仕事をはじめ、学生同士の関わり合いで運営を支えているという側面もあります。日常生活の面でも、先生やコーチ、部員からの信頼を失うことのないようにしてもらえればと思います。

 

 今シーズンも、残すところ中国リーグとインカレのみになりました。残された時間は少ないですが、広大サッカー部に新たな歴史を刻めるよう、日々全力を尽くしていきたいと思います。