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「考える葦」(藤岡輝)

 

 こんにちは。情報科学部に所属している3年の藤岡輝です。

最近読んだ本の中に『運はいい・悪いではなく、使う・貯めるもの』という言葉がありました。1年半ほど前に「ゴミ拾いと運」というタイトルでブログを書いたのですが、この言葉を目にしたとき、僕の行いにも何かしらの意味があったのだと思えて少し嬉しい気持ちになりました。

さて、広大サッカー部に入部して3年目のシーズンが早くも終わろうとしています。今シーズンのこれまでを振り返ると、過去のシーズンと比べて大きく変化があったシーズンだと感じています。その理由を一つ上げるならば、『出場機会の増加』だと思います。以下では、そのことについて詳しく述べていこうと思います。最後までお読みいただければ幸いです。

 

 私の主戦場は広島大学Aとして出場したIリーグでした。これまでの2年間でも同様のカテゴリーでプレーすることが多かったのですが、スタメン出場は数えられる程しかなく、DFというポジションもあってか、途中出場もあまりありませんでした。授業の関係で平日の練習は参加できないことが多く、週末は試合に出られずと、モチベーションを何に向ければよいのか分からないまま淡々とサッカーをしていたことを覚えています。しかし今シーズンは、ほとんどの試合でフル出場させていただき、創部以来初となる上位プレーオフの進出も達成することができました。さらに、これまでは全く関わることのできなかったトップチームの試合にも関わることができるようになり、様々な大会で出場機会をいただけるようになりました。このような変化の理由として、学年が上がったことで今まで試合に出ていた人が引退したことや、授業が減り、ほぼ毎日練習に参加することができるようになったことも当然考えられますが、一番は、他の選手のプレーを観て学び、自分なりに考えてプレーするようになったことだと思っています。

 

 これまでのサッカー人生を振り返ると、私は体の成長が周りの選手より早かったこともあり、小・中学校までは単純なフィジカル能力だけで通用してしまい、高校でもフィジカル能力を武器として戦ってきました。しかし高校卒業後、1年間浪人し、その間全く運動しなかったことで、再びサッカーをはじめて3年が経とうとしている今でもその頃のような身体のキレは戻っていません。感覚的には「勝てる」と思った相手との1対1でもボールを奪えず、抜かれてしまうことが増え、対人守備を強みとしていた私にとってはとてもショックでした。『勘』や『感覚』、『読み』というものを頼りに戦ってきた私は「このままでは大学では通用しない」と思うようになりました。そこで考えたのが、「同じポジションで活躍している人のプレーを観て、学ぶ」ということでした。トップチームとの紅白戦や、トップチームの試合を同じポジションの人に注目して観るといった身近なところから始め、Jリーグ、欧州サッカーなどの試合を観る時も同様にして観ていました。サッカー観戦が昔から好きだったこともあり、こういったことは全く苦ではありませんでした。それらから、攻撃時・守備時のポジショニング、守備時の味方の動かし方、1対1の対応の仕方、相手との駆け引きなど様々なことを学びました。学んだことを練習や試合の中で実践し、自分の試合のビデオを見返して修正することで自分のものにすることができ、そのポジションに対する理解や、サッカーそのものに対する理解が深まったと思っています。私はサイドバックとしてプレーしているのですが、もしあなたが同じポジションでプレーしているのならば、イタリア代表であり、セリエAのナポリに所属するディ・ロレンツォ選手のプレーを見てほしいです。これまで数多くの試合を観てきましたが、彼のプレーは攻守ともに世界トップレベルだと思っています。常に同じポジションに立つのではなく、相手や味方の立ち位置に応じてポジションをとるところ、攻め込んでいる時のサポートの仕方やリスク管理、守備の準備の速さなどSBをしている人ならば参考になるプレーがたくさんあるはずです。最近では、右利きでありながらも左のCBをする機会が増えているので、ブライトンのルイス・ダンク選手やチェルシーのチアゴ・シウバ選手のプレーを観て、ボールの持ち方、運び方などを参考にしています。

 

 Iリーグで上位プレーオフに進出できたこと、トップチームの試合に絡めるようになったことなどここまで良い事ばかりが増えているかのように述べてきましたが、実際はそうではありません。Iリーグでは西地区のグループでなかなか勝てず最終節にぎりぎりでプレーオフ進出を決めたこと、プレーオフでは自分たちのサッカーが全くできず1回戦で負けてしまったこと、トップチームでは勝敗がほとんど決まった状況でしか試合に出られていないこと、トップチームで試合に出続けている選手との差はまだまだ大きいことなど力の差を痛感させられることが多く、その度に悔しさを経験してきました。しかしこれらのことも、試合に出られるようになったから、トップチームの試合に関われるようになったからこそ経験できたものだと思うのでポジティブに捉えるようにしています。Iリーグはすでに終わってしまいましたが、中国リーグ、そしてそれに優勝できればインカレとまだまだ今シーズンの試合は残っています。その中で少しでも出場機会を得られるように、日々の練習に取り組んでいきたいと思います。

 

 以上、長々とした文章でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました。